法廷に現れた私の子を殺した容疑者によって、私的な制裁を行った母親がいます。
彼女は隠し持っていた拳銃で、容疑者の背中に8発の銃弾を撃ち込みました。
「自警団的正義（vigilante justice）」とは、国家理性に委ねずに、自分たちの安全を守るために私的に主張する正義のことです。
正義に反すると思えば、私的制裁に躊躇なく打って出る人々が存在します。
1981年3月6日、マリアンネ・バッハマイヤー（当時30歳）は法廷に拳銃を持ち込み、7歳の娘を虐待し絞め殺したクラウス・グラボウスキー（当時35歳）の背中に銃を向け、8回発砲して銃殺しました。
マリアンネの自警団的正義の行為は、当時のメディア報道で大きく取り上げられ、多くの理解者や支持者を獲得。
彼女は最初殺人罪で起訴されましたが、後に過失致死罪で有罪判決を受け、懲役6年の刑を宣告されました。
グラボウスキーは7歳のアンナが彼を誘惑し身体を触らせ、それを母親に告げると脅迫し、お金を要求したために殺害したと主張。
マリアンネはこの主張にショックを受け、憤慨し殺意を抱きました。
1982年11月2日、マリアンネは殺人罪で起訴されましたが、検察は後に殺人罪を取り下げました。
4カ月後、彼女はリューベック地方裁判所で過失致死罪と銃器の不法所持で有罪判決を受け、禁固6年の刑を言い渡されました。
しかし、彼女は3年間服役した後に釈放されました。3年の刑期で殺人を犯した後に出所するのは異例です。
彼女の私的制裁から13年後の1995年、マリアンネはラジオ番組に出演し、その後自伝も出版されました。
常習的な児童虐待者であったグラボウスキーを去勢手術を条件に釈放したことは、正しい判断だったのでしょうか？
もちろん、彼が釈放されていなければ、アンナの命は奪われることはありませんでした。
そして、すでに死刑が廃止されていたドイツで、マリアンネはグラボウスキーがこの先も平穏に生き続けることを許せなかったのです。
多くの人々にとって、マリアンネの私的制裁を「愚行」と断じることは非常に難しいでしょう。
引用元：トカナ
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