内村航平、逆転の金メダル!
現地時間の2016年8月11日、リオ五輪体操男子個人総合の決勝が行われ、
この種目に内村航平選手が出場しました。
終盤までウクライナのオレグ・ベルニャエフ選手に、
0.901点差という大差をつけられていました。
しかし得意種目の鉄棒で次々と高何度の技を決め、
着地も完璧に収めた結果、15.800点という高得点を叩きだし、
総合得点を92.365点としました。
一方ベルニャエフ選手の鉄棒は14.800点に留まり、最
終的に内村選手がわずか0.099点差での大逆転で金メダルを獲得。
オリンピック2連覇を達成しました。
そしてこの後のメダリスト会見で、
多くの人々の心を打つベルニャエフ選手が激怒した一幕がありました。
ベルニャエフ選手は、
内村選手のことを聞かれたことで怒りを露わにしたようです。
審判の同情?
わずか0.099点差での大逆転で、金メダルを獲得した体操の内村航平選手。
しかしそれは逆に言えば、
わずかな差で逆転負けするという悔しい思いをした選手がいるということです。
このことについてメダリスト会見において、ある記者が
「わずか0.1ポイント差の勝利です。あなたは審判から同情を受けたと思いませんか?」
という質問を投げかけました。
すなわち、これまで世界大会を7連覇してきたという内村選手の「業績」が、
審査に有利に働いたのではないかということを意味した質問です。
これに対し、まず内村選手は次のように答えました。
「そんなことは全く思っていない。どんな選手でも公平に審査してもらっていると思っている」
やや意地の悪い質問のようにも思えますが、
内村選手は感情を露わにすることなく淡々と答えたそうです。
しかしこの質問に対して、
内村選手の後塵を拝したベルニャエフ選手が怒りを露わにしました。
勝ち負け?
「誰でも個人的な感情は持っているけど、スコアをつけることの公正さは、みんなが知っている。さっきの質問は全く意味がない」
悔しい逆転負けの直後でも決してそのことでは激怒せず、
フェアな戦いについて疑われたことについて激怒したベルニャエフ選手。
さらにその後、ベルニャエフ選手はこのようにも語っていたといいます。
「コウヘイをハラハラさせるなんて全然予想していなかったから、僕はとても幸せなんだ。このスポーツには、弱い選手なんか誰もいない。(内村航平という)伝説の男と、僕らが戦ったという事実があるだけさ。これは、世界最高にクールなことだと思う。僕らは一緒に、この素晴らしいショーをやり遂げたんだ」
順位や得点が設けられているということは、人間の中で優劣が決められるということです。
しかしベルニャエフ選手は、勝ち負けのことなどほとんど考えていなかったのでしょう。
ただ、「伝説の男」と心から尊敬している内村選手と同じ場でスポーツをできたことが嬉しい。
ベルニャエフ選手のこの発言には、世界中から称賛の声が寄せられているそうです。
スポーツで大切なのは勝ち負けにこだわることではない、
そんなことをベルニャエフ選手の発言から学んだ気がしました。