道端で落ちている財布を見かけたらどうしますか?
多くの人はそのまま警察などに預けると答えると思いますが、
中にはつい盗んでしまう人もいるでしょう。
財布が無傷で手元に戻ってくるのは日本だけとも言われており、
海外ではまず戻ってくることは無いそうです。
万が一財布が戻ってきたとしても中身をすべて抜かれ、
空っぽだったという話もよくあることのようです。
そんな海外の常識を覆す出来事が起こり、話題を集めています。
落ちていた財布とホームレス
タイでホームレスとして暮らしていたワラロップさん(44歳)はある日、
道端に落ちていたエルメスの財布を拾いました。
その時のワラロップさんの所持金は、
わずか9タイバーツ(約26円)でした。
財布の中身を覗いてみると、
クレジットカードと2万タイバーツ(約6万円)という大金が入っていました。
その時のワラロップさんの気持ちを図る事はできません。
ワラロップさんの所持金を思えば、
この財布の中身を盗めば当分暮らしていく事ができたからです。
しかしワラロップさんは、
この財布に一切手をつけずにそのまま地元の警察に届けました。
この行動が、ワラロップさんの人生を大きく左右することになったのです。
財布を受け取った警察は直ぐに持ち主に連絡し、
二ーティーさん(30歳)が警察の元へ訪れました。
二ーティーさんは、
自分が財布を落としていた事さえ気が付いていなかったそうです。
連絡を受けた時はさぞかし驚いたことでしょう。
そして財布の中身が無事だったことにも。
財布の中身を一切手をつけず、
警察へ届けてくれたワラロップさんの正直さに感動した二ーティーさん。
最大限の謝礼
謝礼として1割を渡そうとしました。
しかし一旦思いとどまり、
『仕事と住居を提供する』ことを思いついたのです。
二ーティーさんはバンコクのある工場の社長でした。
ホームレスとして過ごしているワラロップさんに、
「最大限の謝礼を」と考えたのです。
この提案にはワラロップさんも大喜び。
夢のような話ですが、二ーティーさんの元でお世話になる事になったのです。
ワラロップさんは地下鉄のホームへと向かう階段の近くで、
二ーティーさんが財布を落とした瞬間を目撃していたそうです。
すぐ声をかけようとしたものの距離があった為、
財布を拾って急いで追い掛けたものの、
二ーティーさんを見失ってしまったのだとか。
なんと心優しい人でしょう。
二ーティーさんの恋人はその後SNSで、
「ワラロップさんの正直さは、今の私たちに最も必要なことではないか」
と、その行為を賞賛するメッセージを発表しました。
現在ワラロップさんは、メタル製品を扱う工場で仕事をしています。
お給料は1万1,000タイバーツ(約3万2千円)。
生活に困る事はもうありません。
正直者は・・・
住む場所まで、
無料で提供してもらえたワラロップさんはこう語っています。
「人生をやり直すきっかけを与えてくれた二ーティーさんには深く感謝しています。綺麗なシーツが掛けられたベッドで眠る事が出来るのは何よりも幸せです」
綺麗なベッドで眠れる、
普通の生活の有り難さが身にしみてくる言葉ですね。
財布の持ち主の二ーティーさんは、
現地メディアのインタビューでこう語りました。
「僕がホームレスで同じ状況だったらきっとお金を盗んでいると思います。ほとんどの人がそうするでしょう。しかしワラロップさんのように正直な人もいるのです。私たちはその事をもっと広めるべきです。」
皆さんがワラロップさんのようにホームレス生活をしていて、
目の前に大金の入った財布が落ちていたらどんな行動をとりますか?
『正直者が損をする』『正直者は馬鹿を見る』とは言いますが、
本当にそうでしょうか?
ワラロップさんの行動を見ていると、
正直な気持ちで行なった善意は、
自分の元にかえってくるものだと考える事ができます。
貧しい状況でも、心まで貧しい人間にならなかったワラロップさん。
生き方そのものが自分の人生を決めてゆくのかもしれません。
どんな状況下でも、物事に対する善意や優しさは忘れたくありませんね。