私たちの生活は、数々の犠牲の上に成り立っています。
食生活では牛や豚などの、
家畜の命の犠牲の上で私たちは生きています。
家畜は屠殺を前提として、丹精を込めて飼育されます。
家畜の屠殺については、
私たちはそれほど心を痛めることはないでしょう。
しかしこれが自分の大切にしている、
ペットとなれば話は違いますよね。
今回ご紹介するお話は愛犬を失った中国人の男性が、
犬の食肉加工場の実態を知ったことから、
自分の全てを投げ打って犬たちを救うというストーリーです。
犬の食肉加工場
2012年、中国に住むワン・ヤンさんの愛犬が行方不明になりました。
ワン・ヤンさんは思いつく限り、
くまなく愛犬を探し周りました。
中国では悪名高い犬の食肉加工場にも行ってみましたが、
愛犬を見つけることはできませんでした。
しかしその犬の食肉加工場を訪れたことは、
ワン・ヤンさんに重大な決意を抱かせることになったのです。
犬の食肉加工場の現実は、筆舌に尽くしがたいものでした。
沢山の罪のない犬が食用のために殺されるということに、
ワン・ヤンさんは耐えられないものを感じました。
結局ワン・ヤンさんは、
その食肉加工場を買い取ることにしました。
そして食肉加工場を、
飼い主のいない犬を保護する施設に作り変えたのです。
救いの場に・・・
食肉加工場を犬の保護施設に変えたことで、
ワン・ヤンさんは2,000匹以上の犬を救いました。
犬の救いの場になった保護施設ですが餌、薬、
小屋の暖房費は全てワン・ヤンさんの個人的資産から出ています。
ワン・ヤンさんの経済的負担は深刻なもので、
間もなく資産も底をつくのではないかと語っています。
しかしワン・ヤンさんには、
そんな経済的な悩みよりも大事な目標があります。
それは保護しているすべての犬のために、
愛情をもって育ててくれる里親さんを見つけることです。
そんなワン・ヤンさんの活動は、
目覚ましい成果をあげています。
救助した数千匹の犬の内、
施設に残っている犬が215匹にまで減少したのです。
ワン・ヤンさんは今、寄付を募っています。
しかしそれはお金の寄付ではありません。
食糧と物資のみの寄付を募っているのです。
寄付をしてくれる心優しい人から、
利益を得るようなことはしたくないために、
そのような寄付を募っているのだそうです。
犬食文化
アジアの一部の国には、犬食文化があります。
最近は動物愛護精神の高まりから、
犬食を隠すようになってきています。
しかしながら冬に犬肉を食べると体が温まる、
という言い伝えが信じられており、
冬には犬肉の需要が高まるそうです。
長年の習慣を変えることは難しいですが、
ワン・ヤンさんのような方が現れたことは、
徐々に人の意識が変わってきたことの現れでしょう。
ワン・ヤンさんは愛犬を失いましたが、
自分の資産を投げ打って何千匹の犬の命を救いました。
これは大変勇気のいることだと思います。
彼が掲げている目標が、いつか叶うようになることを願います。