臓器提供者(ドナー)を必要とする女性
アメリカのイリノイ州に住む女性、
ヘザー・クルーガーさんは重い病に侵されていました。
病名は自己免疫性肝炎といい、
体内に入った異物を排除する免疫機能の異常により、
肝臓内の正常な細胞や組織を攻撃してしまう病気です。
彼女の病状は深刻で、治療法は肝臓移植しかありませんでした。
しかし、脳死判定を受けたドナーを待つほど、
猶予はない状況だったのです。
彼女が助かる道はひとつ。
たとえ家族や身内であっても適合することが難しいとされる、
適合ドナーとの生体肝移植しかありませんでした。
ただ残念なことに名乗り出たヘザーさんの家族、
従兄弟までもが不適合で適合するドナーは見つからなかったのです。
町役場で働く男性
同じくイリノイ州に住むクリス・デンプシーさんは、
ヘザーさんの住む町から12キロ離れた役場に勤務する男性で、
たまたまヘザーさんの情報を耳にしました。
正義感が強く、
心の優しいクリスさんは居ても立ってもいられず、
ヘザーさんに連絡をして、
ドナー適合検査を受けることを申し出たのです。
生体肝移植はドナーのリスクが高く、
同じ臓器提供でも生体腎移植に比べると、
死亡率はおよそ5倍ともいわれ、
またドナーの25%が術後に合併症を起こしている、
というデータもありました。
それらを理解したうえで、
クリスさんは名乗りを上げたのでした。
これが運命の出会いとも知らずに…。
まさかの適合!
見ず知らずの女性を助けたいという一心で、
生体肝移植のドナー適合検査を受けたクリスさん。
それはまさに運命でした。
身内でさえも適合しなかった、
ヘザーさんの肝臓と奇跡的にも適合したのです!
余命宣告されたヘザーさんにとって、
まさに救世主となったクリスさんは、
早速ヘザーさんと連絡を取りました。
そして臓器を提供するクリスさんと、
提供されるヘザーさんは初めての対面を果たしたのです。
手術を受けるまで、
2人はお互いの家族を交えて何度となく会い、
会話をして食事をしました。
こうして交流を深めることで、
お互いに信頼できる相手となっていきました。
そしてクリスさんが臓器提供を決心してから半年後、
ついにヘザーさんと共に手術に挑んだのです。
結果は成功!
2人とも無事に回復したのでした。
もう一つの奇跡…
手術が成功してから一年半の月日が流れ、
更なる奇跡が生まれました。
いつしか2人の間に芽生えた恋心が実を結んだのです!
キッカケは臓器提供でしたが、
2人は出会うべくして出会った、
運命の絆で結ばれたカップルだったのですね。
出会っですぐに困難を乗り越えた2人にはこれから先、
楽しくて幸せな日々が待っていることでしょう。
いつまでもお互いを信じ、
思いやる気持ちを大切に、
幸せな人生を歩んでいってください。