三船敏郎へのオファー
世界的に有名な俳優として名高い三船敏郎さんには、
死ぬまで後悔するような出来事がありました。
1970年代頃、
すでに黒澤明監督の映画の成功で、
高い名声を得ていた三船さんに、
映画の出演オファーが来ます。
ジャンルはSF活劇で、
設定は「剣術の達人」です。
彼は侍の存在がアメリカの新人監督の手により、
安く扱われるのではないかと考えて断りました。
映画の制作陣は役柄を、
「黒い鎧に身を包んだ顔が出ない役」に変え、
再度提案します。
しかし三船さんは、
その言葉にも頷くことはありませんでした。
それから数年後、
三船さんは読んでいた新聞のとある記事内容に驚きます。
三船さんが断ったあの映画が、
世界中で大ヒットしていることが掲載されていたのです。
黒澤監督の影響
世界的な俳優である三船敏郎さんが、
度々出演オファーを断っていたその映画のタイトルは、
『スター・ウォーズ』と言います。
監督のジョージ・ルーカスさんがこのシリーズを制作したのは、
黒澤明監督の作品の影響が大きいと言われているそうです。
41 years ago today, Star Wars: A New Hope was released pic.twitter.com/GB4kSkqWfe
— Star Wars Legacy (@starwarsIegacy) May 25, 2018
それは脚本の初期段階にも表れており、
主人公の名前は「アキラ・ヴェイラー」でした。
他にも正義のために、
ライトサーベルで戦うジェダイは刀を携えた侍を連想させ、
まるでスケールの大きい時代劇のようです。
Even before the prequels existed, Darth Vader is such a great, psychologically complex character- especially in Empire. As a kid I didn’t see it until his redemption in Return but it’s there way before. What a nuanced performance on James Earl Jones’ part pic.twitter.com/Fam4pbMEQ5
— Dudeseid (@Dudeseid) May 28, 2018
ルーカスさんはまず主人公を導く重要な役柄を、
次に全身真っ黒な鎧を着用した悪役「ダースベイダー」を、
三船さんに依頼しました。
しかし三船さんは、
どちらも辞退してしまっていたのです。
スタッフは3作目の
「ジェダイの帰還」のダースベイダーを、
再び三船さんに依頼しますが、
やはり三船さんは出演を断ったそうです。
三船敏郎の後悔
後悔の念に沈んでいた三船さんに、
今度は『1941』という、
スティーブン・スピルバーグ監督による映画の出演依頼がきます。
次こそはとオファーを受けた三船さんですが、
映画は興行的に大惨敗した上に、
三船さんの役柄も威厳があまり感じられないものでした。
そして1997年、
三船さんは77歳で静かに息を引き取りました。
ルーカスさんは、
もしも三船さんがオファーを受けていたら、
ヒロイン役も日本人に変更していたと語っています。
それだけ黒澤映画に、
惚れ込んでいたということですね。
三船さんは海外で
「将軍」と呼ばれるくらい、
無敵のイメージを持たれていますが、
そんな彼にも自分の行動を、
後悔してしまうことがあったのだと分かります。
三船さんもルーカスさんも、
理由は違えど日本のことを、
大切に思ってくれたことは間違いありません。
映画鑑賞する際は、
彼らへの感謝を忘れずにいたいものです。