決死の覚悟
人間に育てられた猫は、
虐待をされていない限り人を怖がりません。
しかし野良猫の母親がその環境で育てた子猫は、
人間に懐くのは難しいと思います。
彼らにとって人間は、
怖い存在でしかないのです。
そんな子猫が空腹のために保護され、
少しずつ幸せに近づいていくお話をご紹介します。
これは、
アメリカのウエストバージニア州での出来事です。
ある民家の庭に、
悲しい顔をした1匹の子猫が現れました。
長毛種でモコモコになった子猫は、
どうやら空腹のために民家に現れたようです。
その姿や行動に違和感を覚えた発見者は、
地元の動物愛護団体に通報しました。
子猫は無事に捕獲できましたが、
長い間外で暮らしていたと思われる子猫は体中が毛玉に覆われ、
泥や糞尿が付着していたのです。
無事に保護団体に引き取られた子猫には、
どのような運命が待っているのでしょうか?
動物病院へ
あまりにも酷い子猫の状態を受けて、
動物愛護団体のスタッフはまず動物病院へ連れて行きました。
「子猫の毛は複雑に絡まり、動物病院で一部を刈り取ってもらいました。大変時間がかかりましたが、子猫は汚れた毛玉が取り除かれると、見違えるほど元気になりました。」
スタッフはこのように語ります。
猫のグルーミングやカットは、
麻酔で眠らせてから行いますが、
目が覚めた時にこの子は、
スッキリした気持ちだったでしょう。
かなり不快な思いをして暮らしていたようです。
野良猫でしたが、安心して人に撫でられています。
助けてくれたスタッフのもとで、
一時保護された子猫は安心して暮らしていました。
保護され人に心を許した子猫ですが、
このまま無事に里親さんが見つかるのでしょうか?
食べ物よりも価値あるもの
しばらくして幸運にも、
子猫を家族に迎えてくれる里親さんが現れたのです。
「シド」という素敵な名前も付けられましたが、
目まぐるしく変わる環境に、
シドは適応する事が出来ませんでした。
「シドは数ヶ月の間、物陰に隠れてばかりでした。長い間野良猫と暮らしてきたので、容易に人を信じることができないのでしょう。しかし、毎日愛情を持って接していたので、シドは少しずつ馴れてきて、抱っこしても嫌がらなくなりました。いつの日かシドが、心から信頼してくれることを、辛抱強く待ちたいと思います。」
里親のタミーさんはこのように語りました。
シドのペースに合わせて、
時が来るのを待ってくれるタミーさん。
このような飼い主さんに出会えて、
シドはとても幸せな子猫です。
いつか背負った過去を乗り越えて、
心からタミーさんを信頼する日が来るはずです。
その時は、そう遠くないのではないでしょうか?