双子の赤ちゃん
小さな命の誕生、
それだけでも奇跡を感じます。
しかし全ての命が、
無事に生まれてくるわけではありません。
2010年3月のこと、
オーストラリア在住のデビットさんケイトさん夫婦に、
念願の赤ちゃんが授かりました。
しかも双子です。
順調に双子の胎児は成長していきましたが、
妊娠26週目の6ヶ月を向かえた時、
母親のケイトさんの容体が急変します。
羊膜に包まれたまま、
双子の赤ちゃんが早産で誕生してしまいました。
後から生まれた娘のエミリーちゃんは、
すぐに泣き声を上げましたが、
先に生まれた息子のジェイミー君は、
声を上げてくれません。
せっかく誕生したジェイミー君でしたが、
夫妻は医師からつらい一言が告げられます。
別れの温もり
医師は懸命に蘇生処置をしましたが、
20分後に死亡が確認されました。
医師は生まれて間もない赤ちゃんに別れを告げるよう、
デビットさんとケイトさんに伝えます。
デビットさんはシャツを脱ぎ、
ケイトさんと肌で温もりを伝え、
涙を流しながら息子のジェイミーくんに言いました。
「君の名前はジェイミーだよ」
「一緒に生まれた妹は、エミリーという名前」
「パパとママは、君たちが生まれるのを心待ちにしていたよ」
「君に楽しいことを、たくさん教えてあげたかった…」
など、小さな息子に語りかけました。
すると次の瞬間、奇跡が起きたのです。
胸の中での奇跡
パパとママの温もりと声が、
ジェイミー君に届きました!
大きく息をして目を開き、
デビッドさんの指を握ったのです。
母親と赤ちゃんが直接皮膚を合わせることは、
出産時のストレスを和らげ、
赤ちゃんの心拍と呼吸を良好な状態にする効果がある、
と専門家は言います。
もし死亡を告げられたジェイミー君が、
ママとパパから引き離されていたら、
彼はこの世に戻ってこなかったでしょう。
その後、
言葉が理解できるようになったエミリーちゃんに、
両親は次のように伝えました。
「ジェイミーは、もしかしたら死んでいたかもしれない…」
このことを告げるとエミリーちゃんは涙を流して、
ジェイミー君を強く抱きしめました。
現在は弟のチャーリー君も生まれ、
親子5人で楽しく暮らしているそうです。