傷だらけのラリー
これは今から1年以上前のお話です。
アメリカのデラウェア州に住んでいるテレサさんは、
ある日1匹の野良猫と出会います。
猫は身体中傷だらけで、
片方の骨は折れていました。
おそらく他の猫たちと、
縄張り争いをしていたのでしょう。
攻撃的な姿勢を崩さず、
誰に対しても心を閉ざしている状態です。
「ラリー」と名付けたこの猫を、
どうしても見捨てることができなかったテレサさんは、
毎日彼のもとへ食べ物を運びました。
いつもむき出しの敵意を向けられていましたが、
多くの時間を彼のために費やして、
コミュニケーションをとろうとする日々が続きます。
そんな日々の中でテレサさんの優しい想いが、
ラリー君に届く日がやってきました。
親友になった瞬間
ラリーは今までずっと、
周囲の人間に関わろうとはしませんでした。
自分に対して優しさを見せてくれる、
テレサさんに対しても攻撃的だったラリー。
しかしついにテレサさんの体へ、
喉を鳴らしながら甘えるように頬を擦り寄せたのです。
ラリーがテレサさんに心を許したその瞬間から、
ふたりは大親友となりました。
今までの行動が報われて、
テレサさんも嬉しかったことでしょう。
テレサさんはビンテージショップを経営しているのですが、
仕事で家を空けるとラリーが寂しがります。
そこでテレサさんはラリーを連れて、
毎日一緒に出勤するようになりました。
お店の用心棒
毎日お店に出ているうちに、
従業員としての自覚が出てきたのでしょうか?
ラリー君はお店の
「用心棒」として振る舞うようになったのです。
店内の安全を見守るために、
商品棚の下へドッシリと座り込んだり、
マッサージのサービスをお客さんに行うなど、
お手伝いをしています。
人がやっているパソコン作業に
「猫の手」を貸すのも、
ラリー君の大切な仕事です。
ラリーが毎日こうして頑張っているのは、
テレサさんへ助けてくれた恩返しをしたいから、
なのではないでしょうか?
これからもお店の用心棒として、
様々なお手伝いをしてくれることでしょう。