ルースさんとノーラン君
ルース・スカーリーさんは、
アメリカのメリーランド州に住んでいる女性です。
彼女は4歳になったばかりの大切な息子、
ノーラン君を病気で亡くしました。
病気が発覚したのは彼が2歳の頃。
当初は風邪と思われた症状が、
どんどん悪化していったのです。
そして、病院の検査で「横紋筋肉腫」
という悪性の腫瘍が見つかります。
ノーラン君とルースさんの闘病生活が始まりました。
腫瘍はノーラン君の体内で転移し続けますが、
1年半経っても治療の効果が表れることは、
ありませんでした。
そしてとうとうルースさんは主治医に、
これからはノーラン君をできるだけ、
苦しませないようにすると宣告されます。
母子の会話
ノーラン君の隣に座ったルースさんは、
我が子へ静かに話しかけました。
「息をするのもつらい上に体もすごく痛いでしょう?」
と優しく聞いた後、
ガンと闘う必要はもうないのだ、
ということを打ち明けます。
そんな母親の言葉に対してノーラン君は、
「いいの?」と嬉しそうな顔になったものの、
「でも、ママのために続けるよ」と答えました。
彼は自分のためではなく、
母親のために頑張っていたのです。
ルースさんは胸の潰れる思いで、
あなたを守れる場所は天国なのだと言います。
ノーラン君は
「じゃあ天国で遊びながら、ママが後から来るのを待ってるよ」
と返しました。
最期の言葉
最期は自宅で過ごそうと、
ノーラン君はルースさんと帰宅しました。
そしてその日の夜、
ルースさんがお風呂から出ると、
みんながノーラン君の傍で泣いています。
「彼は深い眠りに落ちて、もう何も感じていないようだ」
と言われました。
ルースさんが慌てて彼の頬に手を添えた時、
ノーラン君は深呼吸後に目を開けて、
微笑みながら最期の言葉を伝えました。
「I love you mommy. (ママ、愛してる)」
最期まで母親のために頑張った4歳のヒーローは、
天国へ静かに旅立っていきました。
彼の思い出と共にこれからルースさんが、
心穏やかな時間を過ごせるよう祈っています。