暴走族の兄
10年以上前にバイク事故で他界した男性は当時、暴走族のリーダーでした。
以前は優しく明るい性格で弟さんの面倒もよく見ていたのですが、
中学2年頃から急に悪い方へ変わっていきました。
男性がした喧嘩や窃盗などで、警察から両親が呼び出される事は日常茶飯事。
彼がたまに家へ帰っては両親と大喧嘩になり、弟さんとは口も利きません。
そんなお兄さんに弟さんは家族を悲しませる事を止めるよう言います。
すると、お兄さんはこう言いました。
「お前には分からんよ。今更戻れない所まで来ちゃったんだ。でも、お前には悪いと思ってる。スマンな。」
弟さんがこの言葉の意味を理解できたのはそれから1週間後、お兄さんが亡くなった後でした。
遺品整理
深夜に警察から、お兄さんが事故にあったという連絡を受け、
家族は病院に駆けつけましたが彼は既に亡くなっていました。
いきなり他界したお兄さんに対し、弟さんは現実を受け止めきれず悲しむ反面、
家族と喧嘩したままの状態で亡くなった事に怒りを感じていました。
弟さんは複雑な感情を抱えつつも、お兄さんの部屋で遺品整理をしていました。
その時に部屋の中で弟さんの興味を惹いたのは、
小さめの物入れについている引き出し全てに鍵がかかっている点でした。
悪い事ばかりしていた兄が鍵をかけてまで隠していたものとは何なのか。
弟さんはバールで無理矢理開き、引き出しの中身を見る事にしました。
絶対バレたくなかったもの
引き出しの中に入っていたのは、お兄さんが家族には絶対見られたくなかったであろうものでした。
それはお兄さんの態度が変貌する以前に撮影された家族写真で、
全員揃ってるものや弟さんとのツーショットなどがあります。
強がって反抗して、もはや後には引けなくなったプライドのせいで素直になれなかったのでしょう。
家族を悲しませている自分が、家族写真をアルバムにしている姿など見せたくなかったようです。
それを見た弟さんは「ダッセーけど、兄貴らしいじゃん。」と思いつつ、泣きながらも笑っていました。
引き出しの鍵は事故の時、お兄さんがバイクのキーホルダーにつけていたものと判明しました。
出典:Cadot