ライムで稼いだお金の行方
タイで暮らしているワランヤさんは、
ある日路上でルーン・ダムさんと言うホームレスに出会いました。
彼は無料で譲ってもらったライムを、
「ライム一袋20バーツ(約64円)。売り上げは野良猫の餌代として使います」
と書かれた看板をもって販売していました。
そして、稼いだお金で必要最低限の食糧と水を買い、
残ったお金は野良猫のために使っていました。
タイでは20バーツあれば2リットルの水やパンを買うことができますが、
ダムさんは迷うことなくキャットフードを買います。
その理由を次のように語っています。
「私は朝食や夕食を食べない日があっても平気ですが、猫は毎日エサを必要としています」
優しさの輪
ワランヤさんはダムさんの活動に感銘を受け、
自身のFacebookで彼の活動を紹介しました。
彼女の投稿は瞬く間に広まり、彼を支援する人がたくさん現れたのです。
ダムさんの活動を支援する人々は、彼にキャットフードをプレゼントしました。
そのキャットフードを受け取ったダムさんは、とびっきりの笑顔で喜びました。
支援者の中にはダムさんの髪を切ったり服をプレゼントしたりと、
彼自身のためのものをプレゼントする人もいました。
周りの環境が変化しても、ダムさんは野良猫のためにライムを売り続けています。
彼は自分よりもか弱い猫たちを助ける英雄として、タイの有名人となったのです。
ダムさんの活動から「外見で人の内面を知ることはできない」
とワランヤさんをはじめ、多くの人が教えられました。
ダムさんは次のように語ります。
「外見はさほど重要ではなく、人の価値はその日、どれだけ良いことをしたかで決まる」