今も世界中で愛されている『グリム童話』は、ドイツに伝わる民話をグリム兄弟が編集したメルヘン童話です。その童話の中に、「ブーレーメンの音楽隊」という物語があります。お話の内容は、人間に捨てられた動物たち(ロバ、イヌ、ネコ、ニワトリ)が一致団結し、最終的には音楽と共に幸せに暮らすお話です。
そんな童話を思わせる出来事が、ドイツの古都ニュルンベルクで起こりました。中世に建設された古い教会の前で、1人の男性がコントラバスを手に立っていました。この男性は、どうやら目が見えないようです。
観光名所にもなっているこの場所には、大勢の観光客が音連れていますが、ある1人の少女が男性に近づいたことから素敵な物語が始まりました。
奇跡のデュエット
盲目の男性を見かけた1人の少女は、母親と思われる女性にリコーダーを取り出したカバンを渡し、楽器を持って男性に歩み寄ります。少女は「ベートーベンの交響曲第9番(第九)」の第一主題を吹き、男性に笑みを送りました。
すると、男性も「第九」をゆっくりと弾き始めたのです。美しい音色に聞き入った少女は男性が引き終わると、真似をするように演奏をし始めました。
少女が2度目の演奏を終えると、男性は通常のリズムで「第九」のメロディーを引き始めました。するといつの間にかチェロ奏者が現れて、デュエットが始まったのです。
少女の演奏がきっかけに始まった演奏会。2人の楽器が奏でられると、教会の影から続々と演奏家が現れました!
フラッシュモブの音楽隊
バイオリン、チェロ、ファゴットにクラリネットなどの楽器を持った人達が続々と登場し、演奏に加わり「第九」のアンサンブルに移ると周囲には音楽に誘われた人々が集まって来ました。美しい音楽に聞きほれていると、いつの間にか教会の前には合唱団が!
金管楽器と打楽器も加わりオーケストラになって「歓喜の歌」が演奏されます。このオーケストラと合唱隊は、ニュルンベルクに本社を構える銀行が企画したフラッシュモブだったのです。ニュルンベルク交響楽団とハンス・ザックス合唱団による壮大な演奏会が始まりました。
周囲の人達も、スマホやカメラを片手に合唱に加わります。クライマックスは弦楽器のみで終わり、集まった人々は歓喜の中で拍手を送りました。
ヘッドホンをしていた少年も、取り外して聞き入ってしまう演奏。あなたもこの素敵な演奏会の動画を、大切な人と共有してみてはいかがでしょうか?
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