異種間の動物が助け合うことは、自然界でもよく見られる出来事です。特に私達の身近にいるワンちゃんも集団で暮らす動物のため、仲間と感じたら全力で助けようとしてくれます。
以前、痴呆症の老婦人が行き倒れていたところ、通りすがりの犬が温めてくれたおかげで命が救われたという報道を耳にしたことがありました。これからご紹介するワンちゃんは、オーストラリアに住んでいるゴールデンレトリバー種のワンちゃんです。
この大変困惑した顔をしたワンちゃんは、何かの行動をしたわけではありません。しかし何もしなかったおかげで、オーストラリアに棲息するある動物の命を助けたのでした。
早朝の珍事
自然豊かなオーストラリアに住んでいるケリーさん夫婦。ある日の早朝、夫が興奮してケリーさんを呼びました。「ちょっと、早くこっちに来て!これを見てくれよ」
何事かと思い声のする玄関に行ってみると、そこで想像もしなかった光景を目にしました。玄関で寝ていた愛犬のゴールデンレトリバー、「アシャ」の首元にコアラの赤ちゃんがしがみついていたのです。
思わぬ光景に、大笑いしてしまったケリーさん。「すいません。あの、ずーっと背中に何かがいるのですが…」困惑したアシャの表情を見て、ケリーさんは笑いが止まらなかったそうです。
アシャは困った顔をして何度も背中にいるコアラの方を振り返りましたが、決して振り払おうとはしませんでした。
迷子の赤ちゃん
コアラの赤ちゃんは、夜の暗い中で母親とはぐれてしまったようです。この日の朝はとても寒く、偶然見つけたアシャの毛で温かく夜を過ごせたようですね。
もしもアシャがコアラを振り払って威嚇したなら、コアラの赤ちゃんは寒さの中命を落としていたかもしれません。「理由はよくわかりませんが、コアラの赤ちゃんを守らなければ」という思いがあったのでしょう。
コアラの赤ちゃんもアシャの背中が気持ち良いのか、なかなか離れようとしなかったそうです。しかし、野生動物のコアラと一緒に暮らすことはできません。コアラの赤ちゃんは、この後専門の保護団体に預けられたそうです。
犬の背中にコアラというオーストラリアならではの珍事ですが、この光景にケリーさんはとても幸せな気持ちになりました。寒い夜でしたが、優しいアシャに出会って無事に保護された赤ちゃんコアラ。元気に育って欲しいですね。