トラの母親代わり
上野動物園で実際にあった、昔のエピソードをご紹介します。
あるお母さんトラが育児を放棄したことがありました。
当時、動物用の粉ミルクはまだ開発されていませんでした。
苦肉の策で1匹の野良犬に乳母を頼むことにしたのです。
昭和33(1958)年5月に上海動物園から来園したワン(オス)とシュフ(メス)は仲が良く、1960~1970年に12回・43頭という多産記録を作りました。これが上野動物園の初繁殖ペアで、トラの繁殖にはオスとメスの相性が重要なことがわかりました。 #トラ130年 pic.twitter.com/XSFQtJjPF3
— 上野動物園[公式] (@UenoZooGardens) March 15, 2017
1958年に上海動物園から来園したオスの「ワン」と
メスの「シュフ」と呼ばれた2頭のトラは大変仲が良く、
およそ10年間に12回出産し、43頭が生まれるという多産記録を作りました。
たくさんの子を残した母トラ・シュフですが、最初の何回かは子育てをしませんでした。当時、動物用の粉ミルクは開発されておらず、牛乳やヤギの乳ではトラが育つための栄養が足りません。そこで、同じ肉食動物であるイヌに乳母を頼むことになりました。 #トラ130年
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しかし母トラのシュフ、最初は子育てをしなかったのです。
育児放棄をされた子トラたちを育てるために考えたのが、
ある1匹のワンちゃんに子育てを頼むことでした。
それぞれの旅立ち
野良犬だったビンゴは、たいへん献身的に子トラの世話をしたそうです。
実は出産直後に、子供を亡くしたという経緯があったビンゴ。
子トラたちを我が子のように思ったのでしょうか?
お乳を与えるだけではなく、体を舐めたりと母親顔負けの育児だったようです。
出産直後に子を亡くし、動物愛護協会に保護された元・野良犬のビンゴは、授乳だけではなく体をなめるなど、献身的にトラの子を育てました。みるみるビンゴより大きくなったトラの子も、何かあるとビンゴの背に隠れて頼っていたそうです。 #トラ130年 pic.twitter.com/2MlVROwU1h
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ビンゴのおかげで大きくなった4頭の子トラたち。
あっという間にビンゴより体が大きくなって逞しくなりました。
ですが子トラたちは、何かあるとすぐにビンゴの後ろに隠れていたようです。
そんな子トラたちとビンゴにも、お別れの時がきました。
大きくなったトラの子は他の動物園に旅立ち、ビンゴも動物好きの家庭に引き取られていきました。その後ビンゴは大切に飼われて、推定16歳で天寿を全うしたそうです。 #トラ130年
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大人になった子トラたちは、別の動物園へそれぞれ旅立っていきました。
一方、役目を終えたビンゴは動物好きな家庭へ引き取られていきました。
元野良犬のビンゴは余生を可愛がられて過ごし、16歳の天寿を全うしたということです。
育児放棄されたトラの子は、自然界だったら生きてはいけないでしょう。
我が子のように世話をする、優しいビンゴがいて本当に良かったですね。