ANAグループにとっての最重要課題は「安全」ですが、
その次に重要視しているものが「定時運航」です。
「時間はコスト」だというANA社員の時間術をご紹介します。
120%の準備
ANAの整備士たちには、「段取り8分」という言葉が浸透しています。
本番の成否は、8分(8割)の準備によって決まるというわけなのです。
整備の必要な飛行機は次のフライトまでに、
常に想定通りにいかない場合のことまで考えて、
準備をしておくことが大切だとしています。
100%では足りず、120%の準備をしてこそ安全運航につながるというのです。
さらに、ANAで働くCA(客室乗務員)の人たちによる時間の管理にも、
その精神が息づいています。
逆算のスケジュール
ANAのCA(客室乗務員)たちは、『逆算』がライフワークになっているそうです。
例えば平日の朝9時にフライトをするという場合は、
フライト20分前にはボーディング(乗客を気機内に案内)、
フライト40分前は客室の確認、機内準備というように時間の逆算をしていきます。
フライト3時間前には自宅を出発、フライト4時間前に起床。
フライト前日には7時間の睡眠を確保するため、22時には就寝。
飲酒をストップ。
毎回予定を逆算して決めながらも、今何をするべきなのかを考えているのです。
CAたちはプライベートの予定でも、
逆算のスケジュールを前提にたてているということです。
NG前提
フライトでは、悪天候などで担当する乗務便が変わることもあります。
そんなときに備えてANAのCAは、
逆算するときにたとえ突発的な予定が入っても、
決められた日時までに準備が完了するように余裕のある段取りを組んでいます。
例えば上司から稟議の承認を得たいという時でも、反対されることも考慮に入れ、
修正する時間も考えながらしながらスケジュールを組んで、
初めて予定通りに仕事が進むということなのです。
ANAでは、
「未来の何時の時点で重要なことが予定されている。その何分前までに、何時間前までに、何日前までにこれを済ませておく」
ということを常に考えながら行動することを目指して、
スケジュールの共有をしようと努めているということです。
定時退社も逆算
現在チーフパーサーとして乗務する、
ANAビジネスソリューション接遇でマナー講師の林康子さんは、
「定時の退社時刻」を意識し、
決められた時間内で業務を終えるように逆算して仕事をしているといいます。
退社時刻に合わせて、その日の仕事が済ませられるように段取りを組むのです。
林さんは部下に対しても、定時で終われるように気遣いを見せています。
定時の18時を過ぎてから部下に仕事を頼もうとする人がいたら、
緊急でない限り断るといいます。
時間を守るということはまず準備、
そしてスケジュールを逆算して考えていくことが大切です。
そのために肝心なのは、今何をするべきかを考えて行動することなのですね。