合唱祭にサングラス!?
沖縄県立宮古高等学校の合唱祭が、
宮古市のマディタ市民劇場で行われました。
その中で、あるクラスが35人全員サングラス姿で、
尾崎豊さんの「15の夜」を合唱する一幕がありました。
合唱祭はどこか厳かな空気が漂う場。
そんなところにクラス全員がサングラス姿ということで、
会場ではどよめきが起こりました。
合唱が披露されると見た目のみならず、
尾崎さんのセリフを真似るという、
指揮者を務めていた男子生徒のパフォーマンスもありました。
結果的に会場は大盛り上がり!
一見、目立ちたいがためのパフォーマンスにも思われる、
サングラス姿での合唱ですが実はこのパフォーマンスには、
ある女子生徒を思う感動の計らいがあったのです。
詳細は次のページにてご覧ください。
子宮頸がんワクチン
その女子生徒は2011年、
当時中学2年生だった時に子宮頸がんのワクチンを接種していました。
しかしその時の副反応から光に対して過敏な状態になってしまい、
常にサングラスをつけていなければいけない生活を余儀なくされました。
その後高校に入学してからは頭痛や虚脱感に加え、
手足がしびれる症状も出てくるようになり、
体調不良や入院が増え、
学校に来ても保健室で過ごすことが多くなりました。
宮古高校では、
合唱祭・文化祭・体育祭のどれかを毎年順番に開催するそうです。
そしてこの年は、合唱祭が開催されることになりました。
最初はその女子生徒は合唱祭には参加しないつもりでしたが、
クラスメートに誘われて参加を表明。
練習にも顔を出すようになりました。
しかしある日、
「サングラスで合唱祭に出るのは嫌だな…」とこぼしました。
するとその子の隣にいた生徒がこんなことを言ったのです。
「じゃあ、みんながサングラスで出たらいいんじゃない?」
その発言には周りの生徒も共感しました。
「いいね、曲の雰囲気に合ってるし」
しかし、なおも女子生徒は参加をためらいました。
みんなでカバー!
「きっとサングラスつけたくない人もいるはず。それに、持ってない人は買わなきゃいけない。私のために無理しないで。」
女子生徒は自分1人のせいで、
他の生徒が迷惑するのではないかと考えていたのです。
しかしそれに対し、
クラスメートの方々はこのように返しました。
「大丈夫だよ。合唱祭終わったら絶対に『やってよかった』ってなるから。」
生徒たちのこの提案を受け、
担任の先生は学校内へ事情説明に回りました。
しかし、先生がしたことはその事情説明だけだったそうです。
私がしたことはこれだけ。女子生徒を練習に誘ったのも、サングラスをつけようと動いたのも、全部生徒たち。リーダーがいるわけでもなく、おとなしいと思っていた生徒たちですが、しっかり成長していました。
1人の仲間の苦しい思いを、
他の仲間みんなでカバーした素敵なエピソードですね。
こうしてクラスの仲間たちは家族や親戚から借りるなどして、
当日は全員がサングラスを持って合唱祭に参加しました。
最初はどよめきが起こったものの、
曲が終わると会場は盛大な拍手に包まれました。
保護者の思い
この合唱祭は本来、保護者が観に行くことはできませんでしたが、
女子生徒の母親は特別に許可をもらって観覧していました。
女子生徒は合唱祭が終了した後、
仲間と握手しながらこんな言葉をかけてもらいました。
「ありがとう、おかげで一つになれた。最高のクラスになったね。」
この言葉を聞いた瞬間、
女子生徒はそれまでの苦労が全てなしになったような思いだったそうです。
「みんなと歌って超楽しかった。楽しい思い出がつくれて良かった。」
最後に女子生徒の母親のコメントを掲載させていただきます。
日々いろんな症状があり、つらい思いしている中でも「私のためにゴメンね」と経済的な心配をしたり、島外での治療のために
「きょうだいに寂しい思いをさせている」と家族の心配をしたり、そんな娘です。今は高校の先生方や友達の理解・支えがあり、休みがちではありますが、
何とか頑張って登校しています。体力的には辛いと思います。娘以上に副反応に苦しんでいる子は、たくさんいます。早急に治療法が確立されることと、国からの救済を願っています。
そして、この記事を読んで、原因が分からずに苦しんでいる子が副反応のことに気づき、前に進むことが出来るならうれしいです。
いかがでしたか?
ワクチンの副反応については、
未だに治療法が確立されていないそうです。
少しでも早く副反応に苦しむ人がいなくなるよう、
女子生徒の母親が多くの方々に広まることを心から祈ります。