関東圏にある私立の進学校で実際にあった出来事です。
ある日、通学中の女子生徒の前に老婆が倒れていました。
老婆の横には重そうな荷物があり、
倒れている老婆は足を捻ったようで、苦しそうな表情を浮かべていました。
女子生徒は急いで救急車を呼び、
老婆に寄り添っていること数分後、救急車が到着しました。
彼女はこのまま学校に向かっても遅刻する時間だったので、
老婆と一緒に救急車へ乗り込みます。
その車内で彼女は学校に今の状況を伝え、遅刻の旨を連絡しました。
老婆は病院で治療や検査を受け、
足の捻挫以外特に問題はないことがわかり、女子生徒も一安心。
そして彼女は笑顔でその場を離れ、急いで学校に向かいました。
なおその日、彼女の学校では学年末考査が行われていました
すると彼女は学校に到着し、
すぐに先生から「学年末考査を受けさせない」と言われたのです。
認められない再試
テストの再試を断られた女子生徒は納得がいかず、先生に理由を求めます。
すると、次のようなよくわからない返事が返ってきました。
「どんな理由であってもあなたの都合で試験に間に合わなかったのだから、再試できない」
「他人のケガで遅れたあなたを再試してしまえば、世界中の誰かがケガしているだけで、再試を受けられてしまう」
それに納得できない彼女は、「じゃあ、おばあさんを見捨てろと?」と先生に質問すると、
次のように言い返されてしまいました。
「救急車を呼んだ時点で学校に向かえばよかった」
「あなたが救急車に乗るべき状況だったのか」
その先生の言い分に何も言えなかった彼女は、自宅へと帰らされました。
1本の電話
テストを受けられずに落ち込んでいると、女子生徒のもとに1本の電話がありました。
それは先ほど彼女を帰宅させた先生からで、
「今回だけは再試を認めるので、今から学校に来なさい」という連絡でした。
先生のその言葉に女子生徒は驚き、先生に理由を尋ねると
「あなたが助けたおばあさんから連絡があり、この学校の卒業生だったらしい」
と言われました。
そしておばあさんは電話越しに、
「再試を実施してください」と何度も何度もお願いしたと言います。
それでも再試を認めない先生に、おばあさんは次のように説教したとのこと。
「試験のルールより心優しい彼女の人間性を認めてほしい」
「人生ではそういう人としての部分が大切な時があることがあなたにもわかるでしょ?」
人間的な部分
おばあさんの懸命な交渉に、女子生徒は涙を浮かべて喜び、再試に臨みました。
テストも良い結果が残せたそうです。
人を数字で評価したり、表面だけで判断したりする人や環境があります。
しかし、そういった評価の仕方だけでは人の内面は判断できません。
「人として本当に大切なことは人間的な部分」
ということをこの出来事は教えてくれました。
テストや試験は大切なものです。
しかし、人としての思いやりや優しさを大切にすることで、
その人の人生はより素晴らしいものになるでしょう。