スピーチ中断
今から60年異常前の1958年、トルコのユスキュダルというところで、
272人もの尊い命が失われる海難事故がありました。
その甚大な被害から、この事故は「ユスキュダルの惨事」と呼ばれれています。
2017年3月1日、そんな大規模な海難事故を悼む式典が、
現場近くの桟橋で執り行われていた時のことです。
出席者の一人であるトルコ北西部カラミュセル市長、
「イスマイル・ユルドゥルム」氏が壇上でスピーチをしていました。
しかし突如として言葉を切り、スピーチを止めてしまいました。
ユルドゥルム氏がスピーチをしていたその時、海には2人のダイバーが入っていました。
ダイバーの役割は式典の演出の1つとして、
大きな花輪を現場近くの海面に浮かべるというものでしたが、
ユルドゥルム氏はスピーチの最中にも関わらず、
そのダイバーのうちの1人の異変を感じ取ったのです。
見事な救出劇
飛び込んだユルドゥルム氏は一気にダイバーの元まで辿り着き、
今にも溺れそうだったダイバーを支えます。
そして岸までゆっくりと着実に運んでいくと、その様子を見ていた人たちも手を貸し、
ダイバーを引き上げました。
市長が飛び込んだのは、もともと泳ぎに自信があってのことだったようで、
無事に女性ダイバーを救出できました。
ダイバーも市長も無事でしたが実はこの時、
女性ダイバーは水の中で意識不明となって溺れかけていたところ、
というギリギリの救出だったのです。
その様子を見ていた周囲の人たちからは、ユルドゥルム氏を称賛する拍手が起こりました。
海難事故を悼む式典で発生したアクシデントでしたが、
市長の瞬間的な判断と行動がさらなる悲劇を回避し、
2人とも無事に済んで本当に良かったと思います。