スヴァーバル諸島に住む野良猫
北極圏に位置するノルウェーのスヴァーバル諸島は、
冬季の気温はー30℃を下回り、
夏季であっても平均気温5℃という極寒の土地です。
主な産業は石炭の採掘で、人口は約3,000人。
そのほとんどがロシア人とウクライナ人で、
公用語はノルウェー語とロシア語です。
そんな極寒の土地に、1匹だけ野良猫が住み着いています。
猫の名前は『ケシャ』。
あるロシア人が連れてきた猫だそうですが、
詳しい事情はよく分かっていないようです。
それでもケシャは町の人々から愛されており、
とても大切な存在となっているのです。
ホッキョクギツネ?
しかし、ケシャにはある重大な秘密があります。
それは、ケシャは猫ではなく『ホッキョクギツネ』だということ!
ただ、『ホッキョクギツネ』というのはあくまで登録上であって、
間違いなくケシャは猫です。
実は本来、
スヴァーバル諸島に猫を持ち込むのは禁止されているのです。
理由は生態系への影響によるものです。
この土地には貴重な野生動物が生息しており、
猫は繁殖力が強いために禁止されています。
しかし、ケシャ1匹であれば繁殖はしないだろうという事で、
登録上だけ『ホッキョクギツネ』という事にして認められたのです。
しかし、ケシャには飼い主はいません。
しかし、心配はいりません。
何故なら、住人全員が飼い主だからです!
愛され猫
ケシャは野良猫といっても家がないわけではなく、
その日自分が行きたいと思った、
住人の家を訪れて生活しているのです。
住人もケシャが訪問すれば快く受け入れます。
ケシャは住人だけでなく、
島を訪れる旅行者からも人気があります。
ある旅行者は、
「ケシャはこの町で会った中で、いちばん親しみやすい住人でした。」
と言ったそうです。
人間の事が大好きなケシャは、
こうしてスヴァーバル諸島の住人や旅行者の心を癒して、
またケシャ自身も愛情を注がれて幸せな日々を過ごしているのです。