スラム街からホワイトハウスへ
オバマ元大統領の夫人であるミシェルさんは、
数々の名スピーチを発信しています。
あのトランプ大統領候補の夫人であるメラニアさんが、
ミシェルさんのスピーチをコピーしたのはニュースになりましたね。
労働階級の家に生まれたミシェルさんが有名大学へ進み、
弁護士となって後の大統領となるオバマ氏の妻となり、母となります。
一見華やかなシンデレラ・レディーに思えますが、
利発な彼女ならではの冷静な目線。
母としての愛情が垣間見えた2016年7月25日の、
ヒラリー・クリントン大統領候補の応援演説に彼女の思いが託されていました。
アメリカのシカゴにあるスラム街でミシェルさんは生まれました。
曾祖父は奴隷だったという労働階級の家で育ったそうです。
そんな環境の中でミシェルさんはプリンストン大学、
ハーバード法科大学院で学び、ついには弁護士になりました。
大変な努力家で頭脳も明晰だったのですね。
そして、勤務先の法律事務所で実習生のオバマ氏と出会います。
その頃からミシェルさんは、後の大統領を支えていたのです。
アメリカ初の黒人ファーストレディーになったミシェルさんの応援演説は、
オバマ大統領誕生の頃のお話から始まります。
感動の応援演説
ミシェルさんの7歳と10歳になる幼い娘さんたちが、
転校先の学校へ初登校する冬の朝。
二人は黒いSUVに乗り、不安な顔で車の窓から外を見ていました。
周囲には銃を持った警護の人たちがいます。
「これでよかったのだろうか?あの時の思いは、今でも忘れられません」
と彼女は悩みました。
ミシェルさんはホワイトハウスの生活が自分達の試練の場であることを悟り、
この経験をどう生かして行くのか考えました。
ミシェルさんはこれから注目される娘たちを守るために、
注意点を挙げました。
テレビなどから流れる中傷は無視すること、
いじめっ子と同レベルにならないこと、
自分自身は高いレベルを保ち続けること。
ミシェルさんは言います。
「子供は両親の背中を見ています。私たちは大統領・ファーストレディーとして、自分の娘たちだけではなく、アメリカすべての子供たちの手本とならなければなりません。ヒラリー・クリントンは、子供たちにより良いものを残していくことが、大統領として重要な役割であることを知っている人です」
このように述べ、ヒラリーさんを応援しました。
ミシェルさんはアメリカの誇りについても語っています。
「子供たちに“国民一人ひとりが重要な存在である”と、教えてくれる大統領。人間は平等で“全員が偉大なアメリカの一員である”と、建国の父が掲げたビジョンを守れる大統領。私はそのような大統領を望みます」
世界に影響を与える核兵器については、
このように堂々と発信しました。
「核のボタンを押せる人間は、冷静で慎重でなければいけません。知識と経験が豊かな人でなければ『偉大な国でなくなったアメリカを、再び偉大な国にしよう』など、言わせてはいけません。今でもアメリカは、世界で最も偉大な国なのです」
ミシェルさんは母親として、
アメリカのリーダーは子供が安心して生活できるような
“子供の希望”となる存在でいて欲しいと語ります。
そして子供たちが愛と希望、
大きな夢を持ち続けられるリーダーが理想だと望んでいます。
あり得ない事を当たり前に
最後にこの演説で1番印象的だったと言われるセリフをご紹介します。
「私たちは今、奴隷が建てた家(ホワイトハウス)で、毎日目覚めます。そして私の娘たち、賢くて美しい2人の若い黒人女性が、ホワイトハウスの芝生で犬と遊んでいる姿を眺めます。ヒラリー・クリントンさんのおかげで、私たちすべての息子や娘たちが、女性が大統領になるのを当たり前だと思えるようになるのです。」
黒人のオバマ氏が大統領になるとき、
アメリカだけでなく世界中が大騒ぎしました。
未来の子供たちが偏見をもたずに、
多様性を自然と受け入れる世界を、
ミシェルさんは言いたかったのではないでしょうか?
またこのスピーチは、トランプさんの個人名を挙げることなく
「スローガンだけを打ち砕いた」とも賞賛の声を受けています。
まさに「いじめっ子と同じレベルになるな」の有言実行ですね。
「こんにちは」と日本語の挨拶で始まる、
ミシェルさんが初来日した時のスピーチです。
相手の国を尊重しつつ、世界の女性の権利を主張する姿は本当に素敵です。
彼女の言葉には魅力があり、引き寄せられるものがありますね。
ファーストレディーにふさわしい方だと思います。