多くの方が1度は体験する虫歯。
歯医者のあの独特な匂いや、
「キーッ」という歯を削る機械の音が、
子どもの時はとても恐ろしく、
歯医者に行くのが嫌で泣いた経験もありませんか?
大人になっても歯医者だけは中々好きになれず、
少し歯が痛いだけなら、
放っておいてしまっている方も、
いるのではないでしょうか?
とにかく嫌われ者の歯医者。
そんな歯の治療が、
変わっていくかもしれません。
それは3Dプリンタを使って作る義歯によって、
虫歯ができないようにするというもの。
デジタル義歯の先
素人目では本物と区別がつかないかもしれません。
3Dプリンタを使って作った義歯自体は、
“デジタル歯科”としてテレビやメディアなどで紹介され、
話題になることもあります。
今回紹介するのはそのデジタル歯科の一歩先を行く、
虫歯のできない義歯です。
その義歯は、なんと義歯が歯に触れただけで、
99%虫歯菌を死滅させてしまうというものです。
一体どういう仕組みなのでしょうか?
どうやら素材に秘密があるみたいです。
素材の秘密
オランダはフローニンゲン大学の、
Andreas Hermann博士らの研究から、
虫歯のできない義歯は生まれました。
彼らの研究によると既存の歯科用樹脂ポリマーの内部に、
第四級アンモニウム塩を埋め込むことによって、
虫歯菌の死滅が可能だといいます。
この聞き慣れない第四級アンモニウム塩とは、
一体何なのでしょうか?
簡単に説明すると除菌や殺菌成分として、
抗菌剤や防腐剤によく使われる成分の一つです。
これが歯科用樹脂ポリマーに触れると、
虫歯菌が99%死滅するそうです。
しかしながら菌が99%も死滅するような成分を、
口に入れるとなると安全なのか不安ですよね?
ご安心ください。
この第四級アンモニウム塩は、
人間の細胞に影響を及ぼすことはないそうです。
実用化まで
現在、この虫歯のできない義歯は、
歯磨き粉に含まれる研磨剤などを使用し、
耐久性や互換性をテストしている段階まで研究は進んでいます。
また、実用化までは臨床実験を重ねる必要もあると、
博士たちの研究チームは説明しています。
もし実用化が可能となれば、
この義歯の材料である抗菌ポリマーは、
容易に入手が可能なため、
インプラントよりも製造コストを、
安く抑えることもできるといいます。
虫歯を予防できてそのうえ安いとなれば、
子供から大人まで誰もが待ち望んでいた、
魔法のような義歯ですよね。
実用化まではまだもう少し時間がかかりそうですが、
早く安全性を証明して実用化されてほしいですね。